競馬で長く遊んでいると、誰もが一度はハマる罠があります。
それがタイトルにもある 「サンクコスト地獄」 です。
- 今日だけで○万円負けているから、ここで取り返さないといけない
- この馬をずっと追いかけてきたから、今回も買わないと気持ち悪い
- ここまで時間をかけて予想したんだから、何かしら買わないともったいない
こういう感覚に心当たりはないでしょうか。
この記事では、
- そもそもサンクコストとは何か
- なぜ競馬と相性が悪いのか
- サンクコスト地獄から抜け出すための具体的な考え方・ルール
を整理して、「サンクコストに振り回されない馬券スタイル」について考えていきます。
サンクコストとは何か?ざっくり整理
サンクコスト(sunk cost)は、日本語だと「埋没費用」と呼ばれます。
ざっくり言えば、
すでに支払ってしまって、どう頑張っても取り戻せないコスト
のことです。
- すでに払ったチケット代
- もう使ってしまった時間・労力
- 過去に負けた馬券代
これらは、どれだけ後悔しても「今からの意思決定」には本来関係がないはずです。
本当は、
これから先、どうするのが一番得か/損が少ないか
だけを考えるべきなのに、
人間はどうしても 「ここまで費やしたのだから…」 という気持ちに引っ張られてしまいます。
これがサンクコストの罠です。
競馬とサンクコストは最悪の組み合わせ
競馬は「サンクコスト地獄」と非常に相性が悪い遊びです。
理由はいくつかありますが、代表的なものを挙げてみます。
① 負けが「見える」遊びだから
馬券を買うと、
- 今日いくら負けているか
- 今月いくらマイナスなのか
が、数字としてはっきり見えてしまいます。
すると、
- 「ここまで負けているんだから、このままでは終われない」
- 「せめてトントンまで戻してからやめたい」
という発想が生まれます。
本来なら、
次のレースで、その馬券を買う期待値がプラスかどうか
だけを考えるべきところを、
過去のマイナスを取り返せるかどうか
で判断してしまうのです。
② レースが「連続している」から
土日の開催中は、レースが次々とやってきます。
- さっきのレースの負け
- その前の惜しいハズレ
- 当たっていれば今ごろ○○円プラスだったのに…
こうした記憶が次のレースにまで持ち越されます。
結果として、
- 「次こそは…」と賭け金を増やす
- 得意でもない条件のレースまで手を出す
- スタイルがぐちゃぐちゃになる
という “負けを追うモード” に入りやすくなります。
③「惜しかった記憶」がサンクコストを増幅させる
競馬ならではの厄介な点がもうひとつあります。
それは、
「取れていたはずの馬券」が、記憶に強く残りやすい
ということです。
- 抜け目1頭で万馬券を取り逃がした
- 直線で不利がなければ当たっていた
- オッズが思ったよりついていて、買わなかったのを後悔
こうした「惜敗の記憶」は、金額以上に心のサンクコストになります。
すると、
- 「あのときの分も取り返したい」
- 「同じパターンでまた後悔したくない」
という感情が積み上がり、
冷静な判断からどんどん遠ざかってしまいます。
サンクコスト地獄にハマったときの典型的な行動
サンクコスト地獄に落ちているときの行動パターンは、けっこう似ています。
パターン①:賭け金だけがどんどん増える
- 序盤:1レース1,000円〜2,000円くらい
- 中盤:負けが込んできて3,000円〜5,000円
- 終盤:メインや最終で「ここで決める」と1万円オーバー
ロジックや期待値よりも、
「ここで当てれば、今日の負けをチャラにできる」
という気持ちが前に出てしまいます。
パターン②:買うレースが増え続ける
- 本来の得意条件を外れたレースにも手を出す
- 「せっかくWINSに来たから、何かは買わないと損」
- 「時間があるし、このレースも少しだけ…」
こうして、
「買う理由があるレース」ではなく、
「負けを取り返すためのレース」が増えていきます。
パターン③:本命や券種の軸がブレまくる
- いつもは単勝メインなのに、負け始めると三連単に手を出す
- さっき当たった券種だけを妙に信じてしまう
- 本命スタイルなのに、追い込まれて穴狙いに振れる
つまり、
「自分の期待値の源泉」が見えなくなっている状態
です。
このあたりの行動が出てきたら、
サンクコスト地獄の入り口にいるサインだと考えてよいと思います。
サンクコスト地獄から抜け出すための原則
では、どうやってこの地獄から抜け出せばよいのでしょうか。
いくつか、自分なりに大事だと思っている原則を書いてみます。
原則1:過去の負けは「完全に無関係」と割り切る
まず大前提として、
「過去にいくら負けていようが、
次の1レースの期待値とは何の関係もない」
という事実を、意識して言葉にしておくことが大事だと思います。
- すでに購入した馬券代
- 逃した万馬券
- 今日ここまでの収支
これらはすべて、「もう戻ってこないコスト」 です。
つまり、いくら考えても変えられません。
変えられるのは、
- これからどのレースを買うか
- どの馬を中心に据えるか
- いくら賭けるか
この3つだけです。
「過去の負けは、今からの判断には無関係」と
自分に何度でも言い聞かせることが、サンクコスト抜け出しの第一歩だと思います。
原則2:1日・1開催ごとに「予算ライン」を決める
サンクコスト地獄の多くは、
「今日はここまで」と決めていない
ところから始まります。
- 1日あたりの最大マイナス額
- 1開催(例:○月○日〜○日)あたりの最大マイナス額
をざっくりでも決めておくと、
- そこに達したら「撤退」
- 撤退後は買わない(見ても買わない)
というストッパーが働きます。
ポイントは、「負けを取り返せそうかどうか」で止めないことです。
「今日はここまでのマイナスなら許容する」と
事前に決めたラインで止めることに意味があります。
原則3:レース単位ではなく「ロジック単位」で評価する
サンクコストは「レース単位」で考えると増幅しがちです。
- あのレースでやられた
- さっきの万馬券を逃した
- メインで大きく負けた
こういう単体の出来事に、どうしても感情が絡みます。
そこで発想を変えて、
「自分のロジック全体として、
100レース単位でどうだったか」
という見方をするようにします。
- 指数1位単勝だけを集計した結果はどうか
- 自分の得意条件(例:3歳未勝利ダート)の成績はどうか
- ロジック通り買ったレースと、感情で買ったレースで結果がどう違うか
こういった「ロジック単位の収支」を見ると、
- 一発の万馬券
- 一発の大敗
に振り回されにくくなります。
原則4:負けは「授業料」として“未来に回収する”
サンクコスト地獄の根っこには、
「ここまで負けた分を、今日のうちに 取り返したい」
という焦りがあります。
しかし、期待値の世界は本来、
- 1日や1開催ではブレる
- 100レース、500レース、1,000レースでようやく収束してくる
という時間軸のものです。
なので、考え方としては、
「今日の負けは、将来プラスになるための授業料」
「その代わり、必ずデータと振り返りで回収していく」
と意識を切り替えるのが大事だと思います。
負けっぱなしにするのではなく、
- 負けたときほど、ロジックの検証・改良を丁寧に行う
- 「この負けを次の100レースの中で取り返す」と長期視点で考える
というスタンスにすることで、
サンクコストを 「ただの損」から「投資」 に変えていけます。
実践的な「サンクコスト対策ルール」例
最後に、実際に役に立ちそうな具体ルールをいくつか挙げてみます。
ルール例①:その日の「負け上限」を紙に書いておく
- 例)「今日の最大マイナスは15,000円まで」
- その金額に達したら、スマホ・PCから馬券サイトをログアウトする
- 物理的に買えない状態を作る
ルール例②:1レースあたりの賭け金の「上限倍率」を決める
- 通常ベットを1とした場合、最大でも3倍までなど
- どれだけ自信があっても、それ以上は絶対に上げない
- 「今までの負けを踏まえて増やす」は禁止ワードにする
ルール例③:負けが込んだら「次の1レースは見送り」を強制
- 2連敗・3連敗したら、次のレースは「見送りレース」とあらかじめ決める
- そのレースは、予想だけして買わない
- これにより、「負けて熱くなっている自分」 を一度クールダウンさせる
ルール例④:勝ち負けに関わらず、翌日にまとめて振り返る
- 当日は「勝った/負けた」の感情だけ受け止める
- 翌日になってから、冷静な頭で買い目と結果を分析する
- 特に大きく負けた日ほど、翌日にしっかり言語化する
まとめ:サンクコストから自由になったとき、ようやくスタートラインに立てる
「サンクコスト地獄から抜き出し競馬に勝つ」というタイトルは、
裏を返せばこういう意味だと思っています。
サンクコストに振り回されている限り、
どれだけ優れた理論や指数を持っていても、
その力を発揮する前に自滅してしまう。
だからこそ、
- 過去の負けを「これからの判断とは無関係」と認識すること
- 1日・1開催の予算・撤退ラインを決めること
- ロジック単位・長期スパンで収支を見ていくこと
この3つは、競馬で勝つための“前提条件” に近いと思います。
次に大きく負けた日があったら、
ぜひ自分にこう問いかけてみてください。
「この負けを、今日取り返そうとしていないか?」
「それとも、次の100レースの中で取り返そうとしているか?」
後者を選べるようになったとき、
あなたはもう、サンクコスト地獄の出口に片足をかけているはずです。

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