武豊騎手の言葉のひとつに、
「前に行ってバテる方が下手クソ」
というものがあります。
プロの騎手としての視点から見れば、
これはたしかに一理あります。
- 馬のリズムを崩さない
- 無駄に脚を使わない
- ゴール前まで脚を温存して末脚を引き出す
こういった観点で見れば、
「変に飛ばして早々にバテるくらいなら、じっくり構えて伸びてくる方が上手」
というのは、騎手としての理想論なのでしょう。
しかし、馬券購入者の立場からすると話は別です。
私はあえてこの言葉を、
タイトル通り 「真っ向から否定」 したいと思っています。
馬券購入者は「結果」だけでなく「納得性」を求めている
まず大前提として、
私たち馬券購入者は「当たるか外れるか」だけを見ているわけではありません。
もちろん、馬券が的中することは何よりうれしいです。
しかし、ハズれたときにも重要なのは、
「負けるにしても、能力を出し切ってくれたか?」
という 納得感 です。
納得できない負け方の典型
- 出遅れて後方ポツンのまま、何もできずに終わる
- 本来前に行ける脚があるのに、なぜか控えて包まれて終了
- スローなのに動かず、直線だけ頑張るも届かず
こういう負け方をされると、
馬券購入者としては 「走ったの? それ」 という気持ちになります。
一方で、
- しっかりスタートを決めて前につけた
- 馬の能力なりに積極的に競馬をした
- 結果としてバテてしまったけれど、やれることはやった
という負け方であれば、
たとえ馬券は外れていても、まだ納得ができます。
馬券購入者が求めているのは、
「勝ち負け+プロセスの納得性」 なのです。
その意味では、
「前に行ってバテる方が下手クソ」
という言葉は、
少なくとも馬券を買っている側の感覚とはズレていると感じています。
下手な騎手ほど「余計なことを考えずに前に行ってくれ」と言いたい
ここから少し踏み込んだ話になりますが、
私は 「下手な騎手ほど、余計なことを考えずに前に行ってほしい」 と本気で思っています。
技術のない差し・追い込みは、ただのギャンブル
差し・追い込みの競馬は、
- ポジション取り
- 折り合い
- 仕掛けのタイミング
- 進路取り
など、騎手の技術がモロに出る騎乗スタイルです。
上手い騎手が乗れば、
- 前が止まる展開を読み切る
- ベストな位置からスムーズに末脚を引き出す
といった「職人芸」が光ります。
しかし、技術・経験が足りない騎手が同じことをやろうとするとどうなるか。
- ポジションを悪くして自滅
- 仕掛けが遅れて脚を余す
- 進路がなくなって詰まって終了
…という結果になりやすいです。
それならいっそ、
「いいから前に行け」
とシンプルな役割を与えたほうが、
馬券購入者としてもまだ納得できます。
特に「減量騎手」は前に行ってナンボだと思う
これは特に 減量騎手 に対して強く感じるところです。
- 斤量が軽い
- それ自体が「前に行きやすい・粘り込みやすい」という武器
である以上、
減量騎手は「前に行ってナンボ」だと考えています。
- スタートを決めて、ある程度ポジションを取り
- 馬の軽さを活かして、簡単には止まらない競馬をする
こういった シンプルで分かりやすい競馬 をしてくれた方が、
馬券購入者としては納得しやすいです。
競馬は「逃げ・先行」が原則として有利なゲームである
そもそもの話として、
競馬は構造的に 「逃げ・先行有利」 なゲームです。
- 物理的に前にいる馬ほど、ゴールに早く到達しやすい
- 自分のリズムで走りやすい
- 不利を受けにくい(詰まらない・進路を探さないで済む)
というメリットがあります。
統計的にも「逃げ→先行→差し→追い込み」の順で不利になる
細かい数字はレース条件によって変わりますが、
ざっくり言えばどの競馬場・距離を見ても、
逃げ馬の成績が最も高く、
次いで先行、差し、追い込みの順に苦しくなる
という傾向は共通しています。
つまり、期待値という観点で見れば、
- 何も考えずに全レース「逃げ馬だけ買う」
- or 「逃げ・先行だけに絞る」
という戦略でさえ、
一定の合理性がある世界です。
後ろから行く競馬は、情報もリスクも増える
後方からの競馬は、
- 前が止まってくれないと届かない
- 自分の位置取りだけでなく、他馬の動きにも左右される
- 進路・仕掛けの選択肢が増える=騎手のミスの余地も増える
という、不確定要素の塊です。
上手い騎手ならさばける場面でも、
技術・経験が足りない騎手には、ただのトラップになります。
それなら、
「前に行って、バテたらそれはそれ」
くらいの方が、
少なくとも 「能力を出し切ったかどうか」は分かりやすい と感じています。
馬券購入者目線の「上手い騎乗」とは何か?
ここまでをまとめると、
馬券購入者目線での「上手い騎乗」の定義は、
騎手目線のそれとは少しズレているのだと思います。
騎手から見た「上手い」は、
- 無駄な脚を使わない
- 馬の負担を減らす
- きれいなフォームで最後まで伸びる
といったイメージが強いでしょう。
一方で、
馬券購入者から見た「上手い」はこうです。
- 能力を出し切ってくれること
- 前に行ける馬なら、ちゃんと前で勝負してくれること
- そのうえで負けたなら「しょうがない」と思えること
この観点に立つと、
「前に行ってバテる方が下手クソ」ではなく、
「行ける脚があるのに前に行かずに負ける方が、よほど下手」
と私は言いたくなります。
まとめ:武豊の言葉を尊敬しつつ、「馬券購入者としては否定する」
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 武豊の「前に行ってバテる方が下手クソ」は、騎手としての理想論としては理解できる
- しかし馬券購入者は、「勝ち負け」だけでなく「負けたときの納得性」も重視している
- 特に下手な騎手・減量騎手には、余計なことを考えずに 前に行ってほしい
- 競馬は構造的に「逃げ・先行」が有利なゲームであり、統計的にも優位
- 後方からの競馬は、不確定要素が多く、技術がないとただのギャンブルになる
- 馬券購入者目線では、「前に行ってバテるより、行けるのに行かずに負ける方がよほど嫌」
そのうえで、あえてもう一度書きます。
武豊の「前に行ってバテる方が下手クソ」という言葉を、
馬券購入者としては真っ向から否定します。
もちろん、武豊級の騎手だからこそ言える言葉であり、
その技術・実績は誰もが認めるレベルです。
ただし、
- すべての騎手が同じレベルでその言葉を実践できるわけではない
- 馬券購入者が求めているものも、必ずしも同じではない
という現実を踏まえると、
「前に行ってバテることを過度に恐れず、
行ける馬はちゃんと前で勝負してほしい」
というのが、
一人の馬券購入者としての、正直な本音です。

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